クラシック
狭義のクラシック音楽は、J・S・バッハ以降の古典派から、R・シュトラウスやマーラーなどの後期ロマン派やドビュッシーやラヴェルの印象派までを指していますが、一般的にはポピュラーミュージックと対する概念として、作曲年代にかかわらず単に西洋の古来からの一連の芸術音楽の事をクラシックと呼んでいます。
クラシック音楽(ヨーロッパ音楽)の歴史は、「中世」「ルネサンス」「バロック」「古典派」「ロマン派」「現代」と大別できます。
中世では、教会が音楽の中心の場でり、音楽といえば聖歌が大半でした。伴奏もなく節回しを付けただけで祈りの言葉を唱えるという形態のものから旋律が加わり、発展していきました。7世紀頃には、初代ローマ教皇グレゴリウス1世の名にちなんだグレゴリオ聖歌が確立し、9世紀頃になると、単旋律だった聖歌にハーモニーが加えられるようになります。12世紀後半には、フランスのパリ・シテ島にノートルダム大聖堂が建立されるとグレゴリオ聖歌は益々盛んになり、多くの作曲家たちが2声から3声、4声へとハーモニーを積み重ね、新しい形態の聖歌が誕生しました。当初は、音楽の教育を受けていた騎士や貴族たちの作によるものでしたが、次第に、喉や音楽に才能のある人々が吟遊詩人や音楽職人として人気を得るようになっていきました。
ルネサンス音楽は、中世音楽からルネサンス期に活躍したイギリスの代表的な作曲家ジョン・ダンスタブルが大陸に渡り、イギリス独自の3度、6度の三和音を伝え、ヨーロッパ大陸の音楽に大きな影響を与えたことにはじまります。ブルゴーニュ楽派のギョーム・デュファイによって開拓され、その後、フランドル楽派(フランドル地方を中心に活躍したルネサンス中後期の音楽家)の活躍によって発展しました。ルネサンス音楽中期には、カノンの作曲家として有名なフランドル楽派初期のヨハネス・オケゲム、ミサ曲やモテットなどを作曲したジョスカン・デ・プレなど多くのフランドル楽派が活躍し、循環ミサ曲、モテットや世俗曲を作曲しました。後期には、フランドル楽派の最後を飾る大作曲家オルランド・ディ・ラッソが出現します。合唱音楽を中心に声楽音楽が栄え、人々の生活と深くかかわりながら発展したルネサンス音楽は、やがて、アドリアン・ヴィラールトによって、イタリアでヴェネツィア楽派が創立され、バロック音楽へと向かいます。
ルネサンス期の終了する1600年頃からバッハが亡くなる1750年頃までの時代が(17世紀~18世紀中頃)バロック時代であり、オペラなどの歌劇音楽が誕生し、ヴァイオリンやピアノなどの器楽の進歩により本格的な器楽音楽が完成しました。また、音楽史上画期的なオペラ「オルフェオ」が、バロック音楽の開拓者であるクラウディオ・モンテヴェルディの手によって誕生しました。バロック時代の音楽の特徴は、スポンサーである王侯や貴族、教会の意向に沿って作曲しているため、大規模で豪華絢爛、感情の起伏も激しく劇的な作風になっています。また、曲全体を低音声部が一貫して流れているという通奏低音の響きを持っていることも特徴です。
巨匠バッハの死(1750年)からベートーヴェンの死(1827年)までを古典派時代(18世紀中頃~19世紀前半)とし、古典派音楽と呼んでいます。古典派音楽の特徴は、バロック音楽の特徴であった通奏低音がなくなり、バロック以前の音楽だったポリフォニー(多声音楽)からホモフォニー(和声音楽)に変わったことです。さらに、古典派以降の交響曲や管弦楽曲の基礎を成し、多くの交響曲や協奏曲、弦楽四重奏曲などの作品が生み出されました。また、調性音楽の代表的な楽式であるソナタ形式が確立され、ソナタ曲の一種である交響曲(シンフォニー)や協奏曲(コンチェルト)、二重奏~五重奏の室内楽曲などもこの時代にに多数作曲されています。古典派時代活躍した音楽家は、ハイドン・モーツアルト・ベートーベン・シューベルトなどです。
1827年のベートーヴェンの死を境に、ロマン主義の精神によって古典派音楽を発展させていった、19世紀のヨーロッパを中心とする音楽をロマン派音楽といいます。1世紀あまりの間に多くの表現手法がみられることから、音楽史では19世紀の半ばを区切りとして前期ロマン派と後期ロマン派に分けられています。ひとりで自由に表現できるピアノが好まれ、ショパンやシューマン、リストに代表されるピアノ作品が多く作られます。さらに、交響曲は自己顕示欲を強烈に表現できるとして、ベルリオーズやメンデルスゾーン他多くの作曲家が好んで作曲しました。
ロマン派時代最後の30年間(1890年~1920年)を近代音楽、それ以降は現代音楽として区分されます。近代音楽の時代は、フランス美術界に印象主義という新しい文芸運動が起こり、印象主義を唱えていた画家や文学家たちと交流があったドビュッシーやラヴェルは、印象主義を採用した音楽を作り上げ、印象派と呼ばれます。近代音楽の時代には、エルガー、リヒャルト・シュトラウス、シベリウス、ラフマニノフらによる「新ロマン主義音楽」が主流を占めていましたが、近代音楽の終わりと共に衰退し、ロマン派音楽は完全に終焉を告げました。