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ロック

ロック (Rock) は、アメリカで1950年代に黒人音楽と白人音楽の融合により生まれたポピュラー音楽のジャンルで、ロックンロールをルーツに派生したサブ・ジャンルのようなものです。

1950年代前半にラジオ番組のDJのアラン・フリードがアフリカ系アメリカ人のコーラス音楽やジャンプ・ブルース、リズム・アンド・ブルース(R&B)の一部をロックン・ロールとよんで紹介してから、音楽のジャンルを意味することばとして広まり、1955年にはビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」がNo.1ヒットを記録、56年にはエルビス・プレスリーの『ハートブレイク・ホテル』などのヒットで若者の人気を集めます。

電気エネルギーで成り立っている産業社会を象徴している音楽ともいわれ、基本的に8(エイト)ビートのリズムを強調した、若者向けの大音量のエレクトリックな音楽という意味で使われていますが、1960年代後半以降は内容や聴衆が多様化しているので、実際はそれにとどまらない広範な音楽が含まれています。

ロックン・ロールのブームは1960年前後にいったん失速しますが、64年にイギリスのビートルズやローリング・ストーンズの音楽がアメリカで爆発的な人気をよんだことから、60年代中期には50年代を上回る勢いで世界中に広がっていきます。フォーク歌手のボブ・ディランや、ビートルズ以前から人気のあったビーチ・ボーイズなどもその動きに呼応し、アメリカやイギリス各地から無数のアーティストが登場しました。そのなかでさまざまな音楽的実験が行われ、表現が飛躍的に複雑化し、1950年代的なスタイルを連想させるロックン・ロールにかわって、ロックということばが定着したのです。その変化の背景には、ベトナム戦争の拡大や世界的な規模での反戦運動、アメリカの公民権運動、学園闘争、ヒッピーのドラッグ文化など、社会のさまざまな動きがあるといわれます。

70年代に入って、エンターテイメント色の強いロックが増加するなど音楽の多様化がみられ、ハード・ロック、ヘビー・メタル、プログレッシブ・ロック、ジャズ・ロック、グラム・ロック、カントリー・ロック、サザン・ロックなどさまざまなスタイルの音楽が人気を集めたました。ロック世代の社会人が増えるにつれて、ロックは成熟した大人の音楽としての性格を帯び、その一部はAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)と呼ばれました。

1980年代には、ミュージック・ビデオ(ビデオ・クリップ)が普及し、1981年にアメリカで設立されたポピュラー音楽専門の衛星放送局MTV(ミュージック・テレビジョン)を舞台に、マイケル・ジャクソン、プリンス、マドンナら、歌って踊れるエンターテイナーがスーパースターになります。

1980年代以降は、楽器演奏よりもコンピュータやサンプラーを使って合成・編集・リミックスされた音楽が広がっていき、コンピュータ機器の応用が進んだ90年代には、ヒップ・ホップはR&Bと結びついてアメリカのポピュラー音楽の主流となり、ヒップ・ホップ、テクノ、ハウスの影響をロック的に応用し、高密度に洗練された音楽をつくる人たちも現われます。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのようにファンクやレゲエなどさまざまな音楽の要素を取り入れたミクスチャー・ロック、長時間即興演奏を続けるジャム・バンドの音楽、ノイズや音響そのものの魅力に注目した音楽なども90年代以降には登場してきました。